フランス語初心者の文法確認(ラカン『サントーム』書き出し)

 以前に英語版からの読解を載せた『サントーム』の書き出しの部分について、遅ればせながらSTAFERLAのフランス語版を基に再度読み始めたので、初心者の文法確認として一語一語細かく解説していきます。

 

J'ai annoncé sur L'affiche: LE SINTHOME.

j'ai annoncé: annoncer(「~を告知する、知らせる、予告する」)の複合過去一単。"ai"は"avoir"の活用→「私が予告した」annoncerの目的語は"LE SINTHOME"

sur: 前置詞。主に「~の上に、~について」の意味。

L'affiche: "affiche"(「貼り紙、ポスター」)は女性単数なのでL'は定冠詞La

⇒「貼り紙で」

訳:「私は貼り紙で(今年のセミネールの題を)『サントーム』と予告しました。

 

C'est une facon ancienne d'écrire ce qui a été ultérieurement écrit SYMPTÔME

C'est: 「これは~だ」

une facon: 女性単数。「仕方、やり方、流儀」

ancienne: 後置形容詞。faconが女性単数なため語尾はe。「古い、旧い、古めかしい、かつての」

d'écrire: d'は前置詞"de"の縮約。"écrire"は動詞「書く」の不定詞(?)。

⇒「古い書き方」

ce qui: 節を先行詞とする関係代名詞。「~することが、ものが」ここでの先行詞は"ce"

a été: êtreの複合過去三単。

ultérieurement: 副詞。「あとで、後に」

écrit: 動詞"écrire"の過去分詞形。”a été écrit”は受動態"être écrit"の複合過去(受動態の複合過去ではêtreの部分だけが変化する)。受動態における過去分詞は主語に性数一致するルールがある。écritが男性単数なのはこの受動態における主語の役割を果たすのが”LE SINTHOME”(男性単数)だからであると考えられる。

(受動態において主語の役割を果たせるのは能動態における直接目的語だけである。そしてこの文を能動態に変換すると、「(我々は)LE SINTHOMEを後にSYMPTÔMEと書く。」となる。ゆえにこの受動態における主語はLE SINTHOMEである。)

⇒「後にSYMPTÔMEと書かれたもの」

訳:「これ(LE SINTHOME)は後にSYMPTÔMEと書かれたものの古い書き方です。」

 

 次の文もやろうと思いましたがここまで書くのに時間がかかりすぎたので一旦切ります。上記の内容に間違いがある場合はご指摘いただければ幸いです。

 

出典

Séminaire 23 : Le sinthome

セミネールXXIII『サントーム』読解ノート(個人用・進行中)

このページでは、Lacan in ireland Seminars « Lacan in Irelandに公開されている『サントーム』の英訳をもとにその内容を(自分がわかる限りで)記録しています。

後からフランス語版を参照して修正を加えていく予定でいます。

※あくまで個人用です。翻訳の質は非常に悪いです。

 

第1回:1975/11/18

サントーム(le Sinthome)とは、symptom(症候)の古い表記法

この変更modificationはララング(lalangue)の新時代を開くmarks an epochもの

・この言葉tongue(=lalangue?)は『ユリシーズ』第一章でジョイスがその願望the wishを明確に表現したものに関する。

ジョイスゲール語アイルランドの言語)ではなく英語で書かなければならなかった。

・『テル・キル』誌上でのフィリップ・ソレルスによる評:「彼(ジョイス)は英ー語というものがもはや存在しないような仕方で書いた」

ジョイスは何かをit(それ=彼の著作?)に加えた。(同じ著者に「それはレラング(l'élangues)と書かれなければならなかった」」と言わせた何か)

レラング(l'élangues)とはelation(高揚感・昂り)のような何かを私(=ラカン?)が指し示そうとしてつけた名

・このelationが、症候(symptom)や精神医学でいう躁病(mania)の源になっている。

 

・このIndeed(名詞形)はフィネガンズ・ウェイクにも共通しているもの。

ラカンジョイスへと興味を誘われることを自分に許し「ジョイス・シンポジウム」の名で探究を始めた。その結果、今年のセミネールのタイトルを『4・5・6』にするという去年(『R・S・I』)の予定からは逸れてしまった。しかし自分としてはこの4(=サントーム)に満足している。

 

フロイトがhis bandと呼んだこれらの無駄話(babble)からproper(正確な?)ロジックを用いて何が引き出されうるのか?

・無駄話をする人々=ウィーンの会議によく行く派閥clique

・私がproperly logicalと評したpath(パス)についていったと言えるような人は彼らのうちに一人もいない。

 

Nature(自然?)は非ー一であることとは区別される。

・Natureと名づけられるものとは区別される何かsomething。

・somethingに強い関心を持つことのうちに排除されるものがNature

・ただし(onlyは接続詞?)(something?)はNatureの外にあるもののpot-pourri(ポプリ、腐った鍋、ごった煮)として特徴付けられるリスクがある。